「体が硬い」とは

関節と筋肉

「体がかたい」「足首がかたい」「膝がかたい」「腰がかたい」といった表現で、かたい(硬い、固い)という言葉をよく耳にします。
「かたい」ということは、関節を曲げたり、体の様々な部位を伸ばしたりすることが十分できないということです。この原因は、関節そのものではなく、筋肉にある場合も多いです。

関節自体がかたい

関節がかたくなっている状態は拘縮といわれ、関節そのものがかたくなるリウマチや関節疾患の病気が考えられます。

筋肉が弱い

しかし、関節自体が原因でなく、関節を曲げる筋肉または伸ばす筋肉の力が弱いことが原因になっていることもあります。

筋肉が伸びない

あるいは、関節を曲げるときに伸びなければいけない筋肉が十分に伸びない場合もあります。

足首の場合

たとえば、足首を曲げるときは、前脛骨筋(ぜんけいこつきん)という下腿部(ひざの下)の前面にある筋肉が収縮します。また逆に足首を伸ばすには、下腿部の後面にあるふくらはぎの筋肉が収縮します。いずれからの筋肉が弱いと、足首をまげにくくなります。

また、足首を曲げる筋肉が収縮するとき、反対側にあるふくらはぎの筋肉(拮抗筋)がリラックスして伸びないといけません。

もしふくらはぎの筋肉がかたくなって緊張していると、前脛骨筋がいくら頑張って収縮しても足首を十分曲げることができなくなります。

力のバランスをとる

足首だけでなく、膝、手首がかたいということは、その関節を曲げる筋肉が弱いか、拮抗筋の筋肉がかたくなっているのいずれかの可能性があります。

これを解決するには、各関節を曲げる筋肉と伸ばす筋肉の力のバランスをとることです。体を柔らかくするということは、いいかえると全身の筋力のバランスをとることです。

「動きが硬い」とは

「かたい」という表現には、「動きがかたい」というのもあります。

動きがかたいことは、関節や筋肉がかたいのとは異なります。非常に柔らかい体をしていても、ボールを投げたり、受けたり、ボールをドリブルするなどの動きをみると、何となくギコチないかたい動きになってしまう場合があります。

調整力

これらは「調整力」とよばれる能力が十分開発されていないことが原因です。

体をあやつる能力

調整力は、自分の手足を、また体をスムーズに思い通り動かし、「あやつる」ことができる能力です。これは神経系の能力に位置付けられます。自分の意志、命令通りスムーズに各筋肉に情報を伝達し、素早く反応できないと、動きがかたく見えてしまうのです。

小学生のころ身に付く

こうした調整力の能力は、6~10歳頃に一番開発され、この頃に身につけておけば一生忘れないで記憶しているものです。

小学生の頃に、いろいろな運動、身のこなしを経験させるのは、こうしたことからなのです。柔らかい身のこなし、動きをしようとすれば、何度も何度も一つの動作をくり返し練習することです。

頭も柔軟になる

元気なときは、筋肉も柔らかく、弾むようで、体も軽く感じます。さらに、物事も正確に判断でき、柔軟な姿勢で対処することができるようになります。頭の回転も早くなり、積極的に行動を起こしやすくなります。

体を柔らかくすることで、頭も柔軟にすることもできるのです。