筋力と健康の関係

筋肉はエンジン

車を動かすにはエンジンが必要です。エンジンが弱いとすぐに故障し、馬力が弱いとスピードが出せず、急な坂も登り切れなくなります。エンジンの手入れをきちっとしておけば、車体が傷んできても走りつづけられるし、故障も起こしにくくなります。

人間の体にもエンジンが必要です。エンジンの役割を果たすのが、筋肉です。車を動かすために一定の馬力と性能を持ったエンジンが必要なように、体を動かすためには、一定の力を持った筋肉が欠かせません。

車が故障したとき

車の場合、エンジンを使わないで車を車庫に入れておくだけでは、エンジンがさびついて故障の原因になります。

故障時の対応

また、事故などで車が動かなくなったときは修理に出しますが、エンジン系統に何らかのトラブルがあるときは、必ずそこを修理します。車体だけが直っても、エンジンに欠陥があるままでは、もと通りの馬力と性能を発揮することができませんし、いつまた故障を起こすかわかりません。

逆に、車体の塗装がはげていたり、傷ついたりしていても、エンジンさえ正常に働けば問題は起こりません。

リハビリは車の修理

車の修理は、人間でいうところのリハビリテーションそのものです。エンジンである筋肉が100%もと通りの状態で動くようにすることがリハビリの基本です。

エンジンが不良のまま走り出してしまうと(仕事やスポーツ活動に復帰する)、きっとそのうちにまたエンストし、再び修理工場に回される(入院)ことになります。

筋力とは、筋肉の「性能」

筋肉の「性能」にあたるのが、筋力です。

性能のよい丈夫な車は、強いエンジンを備えていますが、長期にわたって故障を起こさずに走りつづけることができます。

人間も強い筋肉を備えることでロコモになりにくい体を築くことができます。

関節の痛み

加齢とともに増える関節の痛み。これには、筋肉の衰えが深く関係しています。

筋肉は、関節を保護し、関節を動かしています。筋力が落ちると、関節を十分に守れなくなり、ちょっとした弾みや使いすぎで関節を傷めてしまうのです。

強い関節

関節の痛みは、ハリ、灸、マッサージなどで緩和することができます。でも、一度弱くなった筋肉は、電気を当てたり、温めたり、冷やしただけではもと通りにもどりません。

痛みを再発させないためには、筋力をつけるトレーニングが必要です。回復程度に応じて、適切な内容のリハビリを行うことで、強い関節をつくることができます。

筋肉は使わないと衰える

筋肉は使うためにあります。使わないと、自然に痩せ衰えていってしまいます。そして、筋肉の衰えが行き過ぎると、痛みを生む原因になります。

五十肩

たとえば、五十肩。これは、肩の筋肉を使わないために肩の筋肉が痩せ衰えてしまい、肩が動かなくなるものです。

最近の生活では、物を押し上げたり、バンザイ状態で棚の上の物を取り扱うことが少なくなりました。このため、肩のところにある腕をもち上げる筋肉が萎縮(縮んで退化)しがちです。

最近では、20代なのに「五十肩」になる人もいるといいます。まさに典型的な現代病といえます。

五十肩の改善方法

五十肩の改善方法は、使わないで萎縮してしまった筋肉を「再建」することです。

筋肉に刺激を与える

トレーニングをすれば、弾力性のある筋肉を取り戻すことができます。筋肉に刺激を与えることで、筋肉は徐々に太くなり、収縮することも伸びることもできるようになります。これが、痛みの緩和へとつながります。

寝たままだと歩行も困難に

病気をして長期間入院していても、筋肉は弱くなります。特にベッドに寝たままの状態が続くと、しだいに立って歩くことも難しくなります。

とにかく人間は動く動物であり、動き回って筋肉を衰えさせないようにすることが自然の姿なのです。

筋肉の強さと柔らかさを

筋肉のコンディション(強さと柔らかさ)は、健康のバロメーターだといえます。

積極的に健康をつくる

筋肉が弱く、かたくなっているときは、迷わずストレッチやエクササイズを行うことです。「自分の体はもともとかたいんだ」とか、「筋力なんてどうでもよい」なんて考えず、積極的に自分の体を鍛え、健康をつくり出しましょう。