ヨガ、太極拳、気功

ヨガ

健康意識の高まりに伴い、ヨガ、太極拳、気功の人気が高まっています。東洋医学の予防医学的側面から見直されるとともに、養生法」として注目されています。(劉凱鵬

ヨガの流派

ヨガは2000年以上の歴史をもつ、インドの原始宗教です。現在主要な流派として、以下のものがあります。

<ヨガの主な流派>
名称 特徴
ハタ・ヨガ 体操を中心とした体力づくりを主とする鍛練的ヨガ
ラジャー・ヨガ 瞑想を中心とする精神的ヨガ
カルマ・ヨガ 日常生活での奉仕の実践を主とする倫理的ヨガ
ジナーナ・ヨガ 思索を主とする哲学的ヨガ
クンダリー二・ヨガ クンダリー二という超心理的な因子を重視するヨガ
バクティ・ヨガ グルーという僧侶のような実在の人に対する信仰的ヨガ
マントラ・ヨガ マントラというお題目を唱えるヨガ
アシュタンガ・ヨガ 教典を現代風にプログラム化したヨガ。アディダスヨガのベースになっている
日本では、ハタ・ヨガが主流

日本では、ヨガ体操による体力づくりや健康増進を目的とするハタ・ヨガがよく行われています。

「瞑想」が基本

流派を問わずヨガに共通することは、瞑想状態に達することです。

ヨガの瞑想は、身体的なコントロールを介して精神状態を安定にすると同時に身体の安定をはかるものです。臨床的には神経症の予防や治療にきわめて有効とされています。

脳波のα波の増加

また、瞑想中にはエネルギー代謝のバランス回復、血圧の低下、皮膚抵抗の増加、脳波のα波の増加といった身体的なリラックス反応が観察されます。

太極拳

太極拳は中国明代の拳法家・張全一によって、民族の団結を守るための兵士の訓練法として始められました。幾多の変遷を経て今日では柔和な動きをもつ健康運動、医療体操となっています。

静をもって動を制す

太極拳は、「静をもって動を制し、動いてはいるがさらに静」を基本としています。

具体的には、以下の動作があります。

<太極拳の動作>
名前 内容
軽松柔和 ゆっくりとした呼吸で息切れのない軽やかなゆったりとした動作
連貫均衡 全動作は連綿としてとどまらない
円活自然 腰を軸とした全身の協応動作
心臓、血管を強化

生理学的には、ヨガと同様、心臓、血管および呼吸の効能を強め、体内のうっ血を減少させ、消化作用や新陳代謝課程が改善されるとされています。

気功

気を練り(練気)、心を練る(練意)

気功は気を練り(練気)、心を練る(練意)鍛練法です。潜在能力の開発と自然治癒力を促すことを目的としています。

原型は禽獣・爬虫類の動きを真似た奉納の舞で、以来、さまざまな名称で呼ばれてきましたが、今日では気功という名で千数百種類の功法があります。

調身、調息、調心

ほぼすべての気功に共通する基本的な要素としては調身(姿勢の調整)、調息(呼吸の調整)、調心(意識の調整)です。

これらにより気(生命エネルギー)を増大し、体内の諸機能を向上させ、体質を改善し、病気に対する抵抗力を高めることをねらっています。

今日、中国では練功十八法が太極拳とともに健康体操として普及しています。